3月から4月の谷戸の自然の様子(2025年5月・会報127号)
寒暖差が激しく、雨が少ない冬でしたが、生きものにも大きな影響がありました。2月に雨が降らなかったため、アカガエル類の産卵に適した日
が少なく、産卵量は昨年の3分の2にとどまり約200個でした。それでも数年前は100個程度だったので、アカガエルの
オタマジャクシをネットで保護している成果が出ていると思います。その後、保護したオタマジャクシを、春休み中に大量に盗られる事件が起きました。市内の他の里山でも同じような事件が起きています。心ない大人の仕業でしょう。ヒキガエルは、昨年は産卵しなかったのですが、今年はわずかに産卵しました。2月
雨が少なく、3月に真冬のような寒さがもどったことが植物に悪かったようで、ヤマザクラに先駆けて咲くキブシの花が遅れただけでなく貧弱でした。野草の花も咲く時期が遅れ、3月に咲くはずの早春の花が、
月になってやっと満開をむかえました。
●3月から4月の谷戸で「よくなったこと」「心配なこと」
2年ほど前から、谷戸の生きものが急激に変化しているのを感じます。よくなったこと、心配なことをお伝えしたいと思います。
「よくなったこと」谷戸に昔はあって今はない、ニリンソウという野草が少しずつ増えてきました。3月に大船中学の生徒さんにササを刈ってもらいましたが、ウラシマソウが増えて一面に花が咲いた場所があります。田んぼの山側の散策路沿いにヤマユリやサラシナショウマなど、貴重な野草が芽生えています。道沿いや山の斜面を刈ったためでしょう。帰化植物のナガ
ミヒナゲシを駆除した成果が出て、今年はほとんど見かけなくなりました。最近設置したインセクトホテルに早くもハチがやってきて子育てを始めています。竹筒を出入りしている様子を観察しました。
「心配なこと」桜が散る頃に現れるシオヤトンボをほとんど見ません。シオヤトンボはシオカラトンボによく似たトンボで、春から初夏にたくさん見られます。他所ではあまり見かけない谷戸ならではのトンボですが、減っているようで残念です。タンポポの花
で花粉を食べるヤブキリ(キリギリスの一種)の幼虫が非常に少ないようです。シオヤトンボもヤブキリも2年くらい前から急に減ってきました。谷戸の畑で見られるトウダイグサという野草が減っています。今年は炭焼小屋西の中段の畑だけで見つかりました。現在、市内では谷戸の畑以外ほとんど見かけない野草です。