アカガエル

 3月前半は初夏のような陽気もありましたが、3月の後半から冬のような寒さの日がありました。当初の予想に反して、例年よりも桜の開花が遅れる結果となりました。アカガエルの卵を保護するようになってから3年、今年は昨年を上回る350個を記録し、10年前とほぼ同じ数に回復しました。ところが、アカガエルやヒキガエルの卵まで、根こそぎ持ち去られる事件が発生しました。田んぼには犯人の足跡がついていました。ヒキガエルは2年ぶりにやっと産んだ卵だったので、今後の存続が心配です。アカガエルはネットで保護した場所は無事でした。市内の野村総合研究所跡地の池、広町緑地でも同じ事件が起きており、大量の卵が一気に盗まれていることから、組織的なプロの仕業ではないかと感じます。

●田んぼの生きもの今昔

 当会が谷戸の田んぼに関わるようになってから、40年近くがたちました。環境も生きものも変わり、人も代わりました。特にここ数年は、生態系の変化を感じますので、昔の様子を書いておきたいと思います。

シオヤトンボ
オオジシバリ


 桜が散る頃になると、シュレーゲルアオガエルがにぎやかに鳴き、田んぼにはシオカラトンボによく似たシオヤトンボが飛びはじめ、畔にはタンポポのようなオオジシバリの花が咲き始めます。春だけに見られるシオヤトンボが多いのは山崎の谷戸の田んぼの特徴でしょう。また、田んぼに亀(クサガメ)が棲みついており、作業中に見つかることもあります。以前、田んぼ班の人たちが、甲羅に印(甲羅のふちに切り込みが入れてある)をつけて一匹ずつ身体測定をして記録していました。その台帳が今でもありますので、興味のある方はぜひご覧になってください。冬の間も水がある田んぼであること、畔つけなど昔通りの作業がこれらの生きものを守っています。一方、大きく変わってきたのは、田んぼの水の中の生きものです。昔は田うないをしていると、足元にたくさんのアカガエルのオタマジャクシが泳いでいました。水生昆虫も多く、田植え前の田んぼは水族館のようでした。今は昔にくらべると寂しくなってきましたが、その原因の一つに、野鳥の習性が変わってきたことがあげられます。アオサギという今までいなかった大型の野鳥が田んぼで生きものを食べるようになったり、カルガモが田んぼの生きものを食べつくしてしまうからです。カルガモは昔からいましたが、今ほどは谷戸に依存していなかったと思います。昔は谷戸周辺の住宅地に田んぼが残っていましたが、それらがなくなってしまったので、谷戸の田んぼに頼らざる得ないのでしょう。アオサギやカルガモの被害は他の里山でも報告されています。

クサガメ