アカスジキンカメムシ    ブローチにどう?

カメムシと聞かなかったら捕まえてブローチにしたいくらい美しい。しかもほとんど(あまり?)臭くないというのもうれしい。ミズキなどの樹上にいることが多いが、この個体は飛んできて目の前のヨシの葉にとまったところ。こんなに美しい昆虫を間近に見られる幸せをかみしめながら写真を撮った。雑木林の多い山崎の谷戸に来て、この“歩く宝石”を探してみては。6月から夏にかけて見られるが、残念ながら必ず見られるわけではなく、昔を知る人は「相当減った」と言う。(たのくろまめお)

ラミーカミキリ  長崎から100年以上かけて鎌倉まで来ました

小型のカミキリムシで初夏から夏にかけて食草であるカラムシの上で見かける。
黒と白緑色の模様は他に類似がなく美しい。元々インドシナ半島など南方の虫だが幕末から明治のころ、ラミー(ナンバンカラムシ:繊維をとる植物)の輸入に伴い侵入した外来種。最初は長崎で見つかり、その後分布を広げた。それでも“西日本のカミキリムシ”の時代が続き、私が子どものころは鎌倉では見なかった。それが温暖化とともに分布を広げたようで、何年か前にテニス仲間が「これ何ですか」と送ってきた写真を見たときはビックリした。今ではごく普通に見られるカミキリムシの一つになった。(たのくろまめお)

オジロアシナガゾウムシ    ゾウムシ初登場!

ゾウの鼻のように長い口吻(こうふん)を持っているので“象虫”という。この口は植物を食べるだけでなく植物組織に穿孔して産卵するのに役立つ。谷戸には多くのゾウムシの仲間がいるが、あまり見かけないのは、“小さすぎて見えない!”や樹上性の種が多いため。(日本全体では1,000種以上が知られている)また少しでも危険を察すると落下して死んだふりをする演技派だ。本種はさらにその模様が鳥の糞に擬態しているといわれるほどの念の入れよう。じっとしていることが多く、食草のクズの茎をつかんでいる姿はコアラ?のようだが、必要があれば飛ぶこともできるところはさすが甲虫の仲間。(たのくろまめお)

カワトンボ    ここが一番なんだよね

谷戸に来ている人ならこの場所がどこかすぐにわかるはず。“ししいし”の横を流れる小川は、しぼり水が集まって谷戸一番の水量だ。5月になると毎年ここではカワトンボが羽化し、繁殖活動を行っている。写真は縄張りを見張るオス。メスの羽はすべて透明だが、オスには透明と橙色の2型がある。今から30年ほど前に初めてこの谷戸で出会い、私が恋に落ちるきっかけとなったトンボ。以来トンボを求めて県内の池や川に通い詰めた。山崎の谷戸は訪れた回数も一番だが、これまでに25種類のトンボと出会えた。なお、最近のDNA解析の結果、カワトンボは2種類に分かれ、山崎の谷戸のは「アサヒナカワトンボ」になるようだ。(たのくろまめお)

ツマキチョウ     今年は令和まで頑張る!

春の限られた期間だけ現れるため、スプリング・エフェメラル(春のはかない命)と言われるチョウの一つ。山崎の谷戸では3月下旬に出現し、通常4月下旬までには姿を消す。モンシロチョウなどといっしょに飛んでいると紛らわしいが、やや小さく、オスは前翅の先端がオレンジ色なのでこのチョウだとわかる。ただし、数はずっと少ない。晴れて風が穏やかな日中が出会うチャンス。なかなか止まらず、よい写真を撮らせてくれないチョウでもある。私の場合、チョウを撮るときは追っかけずに、よさそうな花の前で待つことにしている。来なかったら次の花で同様に待つ。2~3時間してもダメならその日はあきらめて帰宅する。日が陰らないうちに洗濯物を取り込むためだ。(たのくろまめお)

シュレーゲルアオガエル  谷戸へようこそ!

模様のない鮮やかな緑色で目の前後に帯状の模様があるニホンアマガエルとの識別は容易。鳴き声もアマガエルが「グェッ、グェッ・・・」に対し「キリリ、コロロ・・・」と聞こえる。普段は樹上生活だが、田んぼ作業が始まる4月になると田の畔に横穴を掘って泡状の卵塊を産む。孵ったオタマジャクシは稲とともに成長し、梅雨明け頃カエルとなって田んぼから山へ。山沿いの田んぼという昔ながらの環境が残っている山崎の谷戸を代表する生きものの一つと言える。写真はオタマジャクシからカエルになったばかりの若い個体。ちなみに「シュレーゲル」は江戸時代にシーボルトが持ち帰った標本を研究したオランダの学者の名前。(たのくろまめお)


ルリタテハ    春が来た!

谷戸に春の訪れを告げる花の一つキブシを撮影していた時のこと、突然飛来して蜜を吸い出した。普段は敏感でなかなか近づけないチョウだが、越冬から目覚めて空腹なのか一向に逃げない。おかげで至福の撮影タイム。今回は幸運が重なった。当初は羽を閉じていたが、しばらくしたら“見て!見て!”と(実際は春の日差しをあびるため)羽を開いてくれた。樹液や腐果に来ているところを見る機会の多いチョウだが、越冬後はキブシなどの花にくるということを初めて知った。これだから谷戸通いはやめられない。(たのくろまめお)

ニホンアカガエル  “谷戸の生きもの代表”といったらこれ!

「登場が遅い!!」とチ〇ちゃんに叱られそう。神奈川県レッドデータブック(2006)で絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している種)にランクされる。平野部に多かったカエルだが乾田化が進んで水のある場所が減ったことが減少の原因と考えられる。山崎の谷戸にはよく似たヤマアカガエルもいるがこちらは平野より山の近くに分布する。両方が生息する山崎の谷戸は大変貴重だ。どちらも田んぼや湿地で産卵し、親は森や草地で暮らす。こうした環境がセットで残っていないと生きていけない。一番早く産卵を開始するカエルで2 月初めから産卵しその後また冬眠する。毎年卵塊の数を調査しているが、環境が大きく変わらないのに減少が続いており、人間による卵塊採取が原因の一つと考えられる。

ウスバフユシャク(オス)  メスには羽が無い蛾

フユシャクは“冬尺”と書き、幼虫はいわゆる“尺取虫”。珍しい蛾ではないが、その生態は興味深い。まず冬に成虫になる。そしてメスには羽が無い。(オスは羽があって普通の蛾。)冬の夜メスがフェロモンでオスを呼ぶ(コーリング)ことによって繁殖する。羽で飛ぶことを止めすべてのエネルギーを卵(産卵)に向けるためと考えられる。もう一つオスにもメスにも口がない。水分を吸収したら凍ってしまうからだ。凍らない体液だけで生き、子孫を残したら死ぬ。なんとも潔い。メスを探しに夜の谷戸に何度か行ってみた。オスは“ししいし”から東谷戸の奥まで飛んでいたがメスは見つけられなかった。フェロモンを頼りに探そうと思ったがやはり人間のオスには無理。夜徘徊する老人で終わってしまった。(たのくろまめお)

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クロコノマチョウ   地面にいたら枯葉でしょう

農家風休憩舎横の川沿いのジュズダマ(食草)で羽化したところ。右側に白くて小さい羽化殻が写っている。枯葉のような模様をしていて、樹林の林床近くを飛翔し、地面によく止まるが周囲の枯葉に紛れて発見は困難。“コノマ”は“木間”で生態をよく表している。以前は見なかったが温暖化の影響で分布を広げ、山崎の谷戸にも定着している。成虫で冬を越す。(たのくろまめお)