谷戸の生きもの

田んぼ、畑、雑木林、湿地、草地、小川、池など多様な環境が残る山崎の谷戸には多くの生きものが暮らしています。
トンボ、チョウ、カエルなどのほか、「ゾウムシ」「ハムシ」など多くの人が初めて聞くような名前の昆虫も見ることができます。そして彼らはすべて固有の生態を持ち、いろいろな方法によって命を繋いでいます。また田畑や雑木林など昔ながらの里山環境と関わりの深い種類も多いのです。
このコーナーでは谷戸で見られる昆虫をメインにその魅力を画像と文で紹介し、たくさんの人が彼らに興味を持ち、また山崎の谷戸の素晴らしさを共感してもらえたらと思っています。

谷戸の生きもの一覧

ツマキチョウ     今年は令和まで頑張る!

春の限られた期間だけ現れるため、スプリング・エフェメラル(春のはかない命)と言われるチョウの一つ。山崎の谷戸では3月下旬に出現し、通常4月下旬までには姿を消す。モンシロチョウなどといっしょに飛んでいると紛らわしいが、やや小さく、オスは前翅の先端がオレンジ色なのでこのチョウだとわかる。ただし、数はずっと少ない。晴れて風が穏やかな日中が出会うチャンス。なかなか止まらず、よい写真を撮らせてくれないチョウでもある。私の場合、チョウを撮るときは追っかけずに、よさそうな花の前で待つことにしている。来なかったら次の花で同様に待つ。2~3時間してもダメならその日はあきらめて帰宅する。日が陰らないうちに洗濯物を取り込むためだ。(たのくろまめお)

2019-04-08

シュレーゲルアオガエル  谷戸へようこそ!

模様のない鮮やかな緑色で目の前後に帯状の模様があるニホンアマガエルとの識別は容易。鳴き声もアマガエルが「グェッ、グェッ・・・」に対し「キリリ、コロロ・・・」と聞こえる。普段は樹上生活だが、田んぼ作業が始まる4月になると田の畔に横穴を掘って泡状の卵塊を産む。孵ったオタマジャクシは稲とともに成長し、梅雨明け頃カエルとなって田んぼから山へ。山沿いの田んぼという昔ながらの環境が残っている山崎の谷戸を代表する生きものの一つと言える。写真はオタマジャクシからカエルになったばかりの若い個体。ちなみに「シュレーゲル」は江戸時代にシーボルトが持ち帰った標本を研究したオランダの学者の名前。(たのくろまめお)


2019-04-01

ルリタテハ    春が来た!

谷戸に春の訪れを告げる花の一つキブシを撮影していた時のこと、突然飛来して蜜を吸い出した。普段は敏感でなかなか近づけないチョウだが、越冬から目覚めて空腹なのか一向に逃げない。おかげで至福の撮影タイム。今回は幸運が重なった。当初は羽を閉じていたが、しばらくしたら“見て!見て!”と(実際は春の日差しをあびるため)羽を開いてくれた。樹液や腐果に来ているところを見る機会の多いチョウだが、越冬後はキブシなどの花にくるということを初めて知った。これだから谷戸通いはやめられない。(たのくろまめお)

2019-03-22

ニホンアカガエル  “谷戸の生きもの代表”といったらこれ!

「登場が遅い!!」とチ〇ちゃんに叱られそう。神奈川県レッドデータブック(2006)で絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している種)にランクされる。平野部に多かったカエルだが乾田化が進んで水のある場所が減ったことが減少の原因と考えられる。山崎の谷戸にはよく似たヤマアカガエルもいるがこちらは平野より山の近くに分布する。両方が生息する山崎の谷戸は大変貴重だ。どちらも田んぼや湿地で産卵し、親は森や草地で暮らす。こうした環境がセットで残っていないと生きていけない。一番早く産卵を開始するカエルで2 月初めから産卵しその後また冬眠する。毎年卵塊の数を調査しているが、環境が大きく変わらないのに減少が続いており、人間による卵塊採取が原因の一つと考えられる。

2019-02-17

ウスバフユシャク(オス)  メスには羽が無い蛾

フユシャクは“冬尺”と書き、幼虫はいわゆる“尺取虫”。珍しい蛾ではないが、その生態は興味深い。まず冬に成虫になる。そしてメスには羽が無い。(オスは羽があって普通の蛾。)冬の夜メスがフェロモンでオスを呼ぶ(コーリング)ことによって繁殖する。羽で飛ぶことを止めすべてのエネルギーを卵(産卵)に向けるためと考えられる。もう一つオスにもメスにも口がない。水分を吸収したら凍ってしまうからだ。凍らない体液だけで生き、子孫を残したら死ぬ。なんとも潔い。メスを探しに夜の谷戸に何度か行ってみた。オスは“ししいし”から東谷戸の奥まで飛んでいたがメスは見つけられなかった。フェロモンを頼りに探そうと思ったがやはり人間のオスには無理。夜徘徊する老人で終わってしまった。(たのくろまめお)

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2019-01-30