ニホンアカガエル  “谷戸の生きもの代表”といったらこれ!

「登場が遅い!!」とチ〇ちゃんに叱られそう。神奈川県レッドデータブック(2006)で絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している種)にランクされる。平野部に多かったカエルだが乾田化が進んで水のある場所が減ったことが減少の原因と考えられる。山崎の谷戸にはよく似たヤマアカガエルもいるがこちらは平野より山の近くに分布する。両方が生息する山崎の谷戸は大変貴重だ。どちらも田んぼや湿地で産卵し、親は森や草地で暮らす。こうした環境がセットで残っていないと生きていけない。一番早く産卵を開始するカエルで2 月初めから産卵しその後また冬眠する。毎年卵塊の数を調査しているが、環境が大きく変わらないのに減少が続いており、人間による卵塊採取が原因の一つと考えられる。

ウスバフユシャク(オス)  メスには羽が無い蛾

フユシャクは“冬尺”と書き、幼虫はいわゆる“尺取虫”。珍しい蛾ではないが、その生態は興味深い。まず冬に成虫になる。そしてメスには羽が無い。(オスは羽があって普通の蛾。)冬の夜メスがフェロモンでオスを呼ぶ(コーリング)ことによって繁殖する。羽で飛ぶことを止めすべてのエネルギーを卵(産卵)に向けるためと考えられる。もう一つオスにもメスにも口がない。水分を吸収したら凍ってしまうからだ。凍らない体液だけで生き、子孫を残したら死ぬ。なんとも潔い。メスを探しに夜の谷戸に何度か行ってみた。オスは“ししいし”から東谷戸の奥まで飛んでいたがメスは見つけられなかった。フェロモンを頼りに探そうと思ったがやはり人間のオスには無理。夜徘徊する老人で終わってしまった。(たのくろまめお)

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クロコノマチョウ   地面にいたら枯葉でしょう

農家風休憩舎横の川沿いのジュズダマ(食草)で羽化したところ。右側に白くて小さい羽化殻が写っている。枯葉のような模様をしていて、樹林の林床近くを飛翔し、地面によく止まるが周囲の枯葉に紛れて発見は困難。“コノマ”は“木間”で生態をよく表している。以前は見なかったが温暖化の影響で分布を広げ、山崎の谷戸にも定着している。成虫で冬を越す。(たのくろまめお)

キタキチョウ   最近改名しました

「キチョウ」は「黄蝶」で残念ながら「貴重」ではない。山崎の谷戸で普通に見られる黄色いチョウで翅の外側に黒い縁どりがある。モンキチョウより一回り小さく、より黄色い。特にオスはメスと比べて濃い黄色だ。年に何回か発生し、晩秋に羽化したものが成虫で越冬する。そのため春早くから姿を見せ、吸蜜のためにいろいろな花にやってくるが(写真はヤマハッカ)産卵はハギ類などのマメ科植物。以前は単にキチョウと呼ばれていたが最近のDNA解析の結果2種類いることが分かり、九州以北のはすべてキタキチョウとなった。(たのくろまめお)

アリグモ   クロオオアリに似てない?

一番前の足2本を持ち上げて触覚に見せかけることにより一見6本足のアリようだ。しかし実際は8本足のれっきとしたクモ。アリに擬態していることは間違いないが、なぜなのかははっきりしていない。“外敵から身を守るため”という説が有力だ。しかし、私の推理は違う。アリのふりをして獲物に近づき、油断しているところを急に襲うのだ。写真は大きな上あごでハエ?を捕らえたオスだが「卑怯だろ」と言っているように見えないか。谷戸でやや大きめの黒いアリがいたら注意して見ていただきたい。(たのくろまめお)

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アジアイトトンボ   意外なものを食べています

大きさは3㎝以下で県内では最小のトンボ。自宅の庭や谷戸の草むらなどで見かけることが多い。非常によく似たアオモンイトトンボより小型で華奢だが、遠目では識別困難。写真では口に何か獲物をくわえているようだが“小さすぎて分からない!”そこであれをかけて見るとトリノフンダマシというクモの幼体であることが分かった。“すごいぜハ〇キルーペ!”日本全国はもとよりアジア地域に広く生息するためIschnura asiaticaという学名がついている。(たのくろまめお)

アオマツムシ   毎度お騒がせしています

谷戸の会が開催する「秋の虫の音」に集まった人は、前後左右上下から聞こえるその鳴き声(リーリーリー)の洗礼を受ける。BGMと割り切りってエンマコオロギ、カンタン等本命の虫の声を聞き分けなくてはならない。コオロギの仲間だが樹上にいるためか、たくさん鳴いているわりに意外と姿は見ない。写真は草むらの葉陰にいたメスで、背中の模様がミゾソバに合ってないのが“ざんねん”。もともと熱帯アジア原産で大正6年にはすでに東京市四谷あたりに多かったという記録がある。(たのくろまめお)

オオアオイトトンボ   これからも湿田でお願いします

「イトトンボ」は「糸トンボ」で細身の体から、「オオアオ」は「大青」で「アオイトトンボ」より大きいから名付けられた。梅雨の頃に羽化するといったん林の中へ。盛夏はそこで過ごす。秋に水辺に戻ってきて10月末ごろまで活動する。池の上に突き出た枝に産卵し、孵った幼虫は下の池に落ちるという習性がある。山崎の谷戸にそのような環境が見当たらないと思っていたら、今年の7月上旬、山際の田んぼから次々と羽化するのを目撃した。一年中水のある田んぼを利用していたのだ。生きものはたくましい。(たのくろまめお)

昆虫病原糸状菌(キイロスズメバチ)  手ぶらのサンタにはわけが

生きているときに菌に感染し死んだキイロスズメバチ。菌といえばキノコやカビが一般的だが、昆虫に寄生し恐ろしいスズメバチを優しいサンタクロースの姿にしてしまう菌がいる。ハチだけでなくバッタ、カミキリ、クワガタなど多くの昆虫に寄生する。写真を撮った場所は谷戸の一番奥、杉林の下で日当たりが悪く高湿度の所。その中にあって風通しのよい葉の上で絶命していたのは、子孫繁栄を願って胞子が飛散しやすいようにするための糸状菌の戦略だろう。(たのくろまめお)

アオスジアゲハ 「Wind is blowing from the Aegean ~」

ジュディオング「魅せられて」の一節が思い浮かぶ。谷戸で栽培しているタブノキの苗木に産卵していたメスが飛び立った瞬間。飛翔力が高く、早いスピードで樹木や花のまわりをめまぐるしく飛び回るので飛んでいる姿を撮るのは至難。暖地のチョウで以前はそれほど普通ではなかったが、幼虫の食草のクスノキやタブノキが街路樹として植栽されるようになったので都市部でもよく見られるようになった。環境を入れたくて魚眼レンズで撮ったのでレンズとチョウとの距離は数センチ。(たのくろまめお)