谷戸の生きもの

田んぼ、畑、雑木林、湿地、草地、小川、池など多様な環境が残る山崎の谷戸には多くの生きものが暮らしています。
トンボ、チョウ、カエルなどのほか、「ゾウムシ」「ハムシ」など多くの人が初めて聞くような名前の昆虫も見ることができます。そして彼らはすべて固有の生態を持ち、いろいろな方法によって命を繋いでいます。また田畑や雑木林など昔ながらの里山環境と関わりの深い種類も多いのです。
このコーナーでは谷戸で見られる昆虫をメインにその魅力を画像と文で紹介し、たくさんの人が彼らに興味を持ち、また山崎の谷戸の素晴らしさを共感してもらえたらと思っています。

谷戸の生きもの一覧

ニホンアカガエル  “谷戸の生きもの代表”といったらこれ!

「登場が遅い!!」とチ〇ちゃんに叱られそう。神奈川県レッドデータブック(2006)で絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している種)にランクされる。平野部に多かったカエルだが乾田化が進んで水のある場所が減ったことが減少の原因と考えられる。山崎の谷戸にはよく似たヤマアカガエルもいるがこちらは平野より山の近くに分布する。両方が生息する山崎の谷戸は大変貴重だ。どちらも田んぼや湿地で産卵し、親は森や草地で暮らす。こうした環境がセットで残っていないと生きていけない。一番早く産卵を開始するカエルで2 月初めから産卵しその後また冬眠する。毎年卵塊の数を調査しているが、環境が大きく変わらないのに減少が続いており、人間による卵塊採取が原因の一つと考えられる。

2019-02-17

ウスバフユシャク(オス)  メスには羽が無い蛾

フユシャクは“冬尺”と書き、幼虫はいわゆる“尺取虫”。珍しい蛾ではないが、その生態は興味深い。まず冬に成虫になる。そしてメスには羽が無い。(オスは羽があって普通の蛾。)冬の夜メスがフェロモンでオスを呼ぶ(コーリング)ことによって繁殖する。羽で飛ぶことを止めすべてのエネルギーを卵(産卵)に向けるためと考えられる。もう一つオスにもメスにも口がない。水分を吸収したら凍ってしまうからだ。凍らない体液だけで生き、子孫を残したら死ぬ。なんとも潔い。メスを探しに夜の谷戸に何度か行ってみた。オスは“ししいし”から東谷戸の奥まで飛んでいたがメスは見つけられなかった。フェロモンを頼りに探そうと思ったがやはり人間のオスには無理。夜徘徊する老人で終わってしまった。(たのくろまめお)

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2019-01-30

クロコノマチョウ   地面にいたら枯葉でしょう

農家風休憩舎横の川沿いのジュズダマ(食草)で羽化したところ。右側に白くて小さい羽化殻が写っている。枯葉のような模様をしていて、樹林の林床近くを飛翔し、地面によく止まるが周囲の枯葉に紛れて発見は困難。“コノマ”は“木間”で生態をよく表している。以前は見なかったが温暖化の影響で分布を広げ、山崎の谷戸にも定着している。成虫で冬を越す。(たのくろまめお)

2018-12-12

キタキチョウ   最近改名しました

「キチョウ」は「黄蝶」で残念ながら「貴重」ではない。山崎の谷戸で普通に見られる黄色いチョウで翅の外側に黒い縁どりがある。モンキチョウより一回り小さく、より黄色い。特にオスはメスと比べて濃い黄色だ。年に何回か発生し、晩秋に羽化したものが成虫で越冬する。そのため春早くから姿を見せ、吸蜜のためにいろいろな花にやってくるが(写真はヤマハッカ)産卵はハギ類などのマメ科植物。以前は単にキチョウと呼ばれていたが最近のDNA解析の結果2種類いることが分かり、九州以北のはすべてキタキチョウとなった。(たのくろまめお)

2018-12-12

アリグモ   クロオオアリに似てない?

一番前の足2本を持ち上げて触覚に見せかけることにより一見6本足のアリようだ。しかし実際は8本足のれっきとしたクモ。アリに擬態していることは間違いないが、なぜなのかははっきりしていない。“外敵から身を守るため”という説が有力だ。しかし、私の推理は違う。アリのふりをして獲物に近づき、油断しているところを急に襲うのだ。写真は大きな上あごでハエ?を捕らえたオスだが「卑怯だろ」と言っているように見えないか。谷戸でやや大きめの黒いアリがいたら注意して見ていただきたい。(たのくろまめお)

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2018-11-18