谷戸の自然だより(2018年度)

生態系から観た、里山の手入れ 谷戸の湿地 その8 (2018年5月・会報85号)

●湿地復元をしている4つの場所

湿地の水たまりを維持するために、毎年、4つの場所(小さな池)で湿地復元作業をしています。前回説明した「湿地内部の水たまり」よりも大きく目立つ場所にあるので、子どもたちの自然体験の場としても利用されています。生態系保全からは「擬似田んぼ」として、また体験学習の場としても重要です。4つの場所は各々由来や特徴に違いがあります。
1.ししいし裏の湿地(休耕田)
1997年まで田んぼだった場所です。休耕田のように、水面が見えて「田んぼ雑草」が生えている状態を維持することが目的です。子どもたちの遊び場所でもありますが、石や枝を投げ込まれていることもあります。夏は干上がることがあるので、上流側の湿地(ザリガニ池)から水を導入しています。
2.通称「ザリガニ池」
「ししいし裏の湿地」から道路を隔てた場所です。湿地の排水マスの周辺を、アシを除去して小さな水溜りにしています。水面が見えるようにすることで、子どもたちが水辺の生きものと触れ合える場所です。「ししいし裏の湿地」へ水を導入するための流路を確保する意味でも手入れが必要です。周辺の湿地内部を流れる水路の草を抜き、掘り直すなど手入れをしています。
3.農家風休憩舎脇の湿地(水たまり
1986年ごろは湿地の水溜りで、当時、湿地復元をしたところ、スキー板やペンキの缶など粗大ゴミが大量に埋められていました。水が溜まるようにすることで、田んぼから流れてきた生きものが、この湿地に滞留して生き残れるようにしています。最近、湿地の一角でヘイケボタルが増えてきました。外来種のオオフサモが繁茂して水面がなくなってしまうことや、水路(体験広場の北側を流れる水路から導入)が埋まりやすいので、手入れが必要です。
4.田んぼの先の湿地(水たまり)
公園整備の際、谷戸を横断する園路が造成されたので、田んぼの先(東谷沖)の湿地と田んぼが道路で分断されてしまいました。横断道路の上流側に湿地の水が溜まりやすくなって、水溜りのようになっています。泥が深く、ひざの上まで浸かります。放任すれば、ガマやアシが茂り、より一層、ヘドロも溜まりやすくなります。年に一度でも手入れをすることで、湿地(水たまり)に流れができ、ヘドロが少しずつ流れていきます。またホトケドジョウなどの生きものが生息できるようになります。
次回は、まとめとして湿地の手入れと生きものについて考えてみます。